8. 感傷ロストライン
[00:03.64] 『少年は悩み苦しんでいた。
[00:07.80] 自分が恋していたのは、
[00:09.57] 今のカナリアなのか。
[00:13.03] ────あるいは、
[00:13.72] 5年間の思い出を共有しているミリリという少女なのか。
[00:20.36] 姿形はもちろん見たこともない少女。
[00:25.16] けれど口調や時折見せる表情は、
[00:28.79] 彼の知っているカナリアの面影そのもので』
[00:34.36] 「いいの。困らせるためにここまで
[00:37.29] 来たわけじゃないよ?だから……」
[00:42.42] 「んんー、難しくてよく分からないけど、
[00:46.15] みんなで仲良くすればいいよ!」
[00:51.19] 深い苦悩が日常を侵食して
[00:57.57] 葛藤と拮抗に澱みなき軋轢
[01:03.95] セオリー通りの解決策を揭示 lazy
[01:11.02] ただ雪解けを祈るだけ
[01:16.86] どちらか一方を取ることなんてできない
[01:23.15] どれだけ複雑な数式をさ、
[01:27.67] 用いたって解答は出ない
[01:32.45] 少年は塞ぎ込み不眠に陥る
[01:39.09] ガラクタさながら病みながら
[01:42.28] そんなドラマならいらない
[01:48.40] 自家撞着の果てには何もなくて
[01:54.78] それが最後の選択だっていうなら
[02:01.42] 分かたれた道を
[02:03.80] 選ばず繋ぐ新しいラインを描く
[02:07.79] これが最後の物語になるのなら
[02:14.16] エピローグはもう
[02:15.49] 正しく優しく奏でて欲しい
[02:20.27] 今傷だらけのクロスラインを
[02:26.92] 一つに結んでゆく
[02:34.77] 『少年が特別な意識なく
[02:36.64] 接しているつもりでも、
[02:38.43] 眠りを必要としないカナリアと
[02:40.28] 共有する時間が増えてしまうのは自然なこと。
[02:44.53] 少しずつほんの少しずつ。
[02:47.98] 思い出を共にしているはずのミリリとは
[02:50.65] 距離を置くようになって……。
[02:53.47] 少女は絶望し、
[02:55.59] 病みは闇を生みだす。
[02:58.35] その小さな闇に、
[03:00.11] レジスタンスの一員である
[03:02.24] メイメイという不気味な女が付け込んだ』
[03:05.70] 「知ってる?
[03:07.03] カナリアが死んでしまえば、
[03:09.14] あの場所にはあなたがいられるのよ?」
[03:11.81] ひとつだけ────迷いが
[03:16.05] 生まれた時、
[03:18.45] 少女は誘惑に負けないと誓う
[03:24.83] ふたつめの────絶望を感じた時、
[03:31.10] 少女は懸命に理性を留めた
[03:37.48] みっつめに────二人が笑いあう
[03:43.05] 度、少女はその罪なき存在を呪う
[03:50.14] よっつめの────裏切りを目した時、
[03:56.51] 少女は甘美な幻想に飲み込まれて
[04:03.17] 背中合わせの二人
[04:06.09] 「――そこは、私の場所」
[04:09.27] 決壊する衝動にその手を染めた
[04:16.19] 悲しい嘘はもういらない
[04:22.11] 無価値な線は消してしまうから
[04:29.98] それが最後の選択だっていうなら
[04:36.61] 分かたれた道を
[04:38.99] 選ばず繋ぐ新しいラインを描け
[04:42.98] 今最後の物語がはじまったエピローグを
[04:50.34] さあ、悲劇の音色で奏でて
[04:55.83] 消えてしまったクロスラインを
[05:02.20] 一つに繋げずに
[05:11.25] 「ふぅ、ようやく寝たみたい。
[05:14.18] 最近お兄ちゃん、
[05:15.51] なかなか眠れないみたいで、心配……。
[05:18.34] 私も横で一緒に眠ってあげられたらいいのに」
[05:23.11] 「いいお薬を貰ってきたよ。
[05:26.21] これを飲んだら、
[05:27.19] あなたも眠れるようになるって!」
[05:30.92] 『それはメイメイから受け取ったモノ。
[05:33.83] 確かにカナリアでさえ
[05:35.07] 眠りにつけるけれど、
[05:37.19] 体を緩やかな死が蝕む毒を含んだ
[05:40.12] 薬。 カナリアは喜んでそれを
[05:43.21] 口にし、少年に寄り添うようにして
[05:46.41] 眠りにつく』
[05:48.44] 『けれど次の日から、
[05:50.56] 少女は純粋な優しさから、
[05:53.22] 不眠に悩む少年にもその薬を分け
[05:56.41] 与えてしまっていた。
[05:58.81] ミリリの気付かぬうちに、
[06:00.92] 目の届かないところで――二人は
[06:03.58] 共に死へと誘われる』
[06:07.29] 「そうじゃない。
[06:09.42] そうじゃないそうじゃないっ!!
[06:12.35] 殺したいのは、
[06:13.94] アイツだけだったのにっ!」
[06:18.19] 『手を繋ぎ、仲良く眠るように背中合わせで
[06:21.83] 橫たわる二人の穏やかな表情をみて、
[06:25.18] 少女は完全に闇に飲み込まれた……』
